上顎へのインプラント埋入方法にはどんなものがありますか?

Case No.10
上顎へのインプラント埋入の方法にはどんなものがありますか?

上顎へのインプラント埋入方法にはどんなものがありますか?


上顎へインプラントを埋入する際、避けて通れないのが、「上顎洞」と云う解剖学的に存在する大きな空洞の存在です。
この上顎洞は、どなたにもある空洞なのですが、よく皆さんが耳にされる「骨が無いからインプラントの埋入手術は無理です。」のフレーズが多用される、そんな場所に存在します。
では、本当に無理なのでしょうか?
方法は大きく分けて3通りあります。

「サイナスリフト」、「socket lift」、「傾斜埋入」の3通りを、それぞれにご紹介します。
まずサイナスリフトとsocket liftは、「骨が無い」部分へ骨を造る方法です。傾斜埋入は、骨のある所を探して、傾斜をさせた状態で、埋入する方法を云います。



1.サイナスリフト

上顎洞の穴を、横から覗くような窓を開けて、その空洞へ骨に変わっていく補填剤を添加し、骨が出来るのを待って、インプラント手術へ移行していきます。
「窓を開けて」と云うのは、歯肉を切開剥離し、骨を削って空洞へアプローチします.もちろん術中は麻酔をかけた状態ですので痛みを感じることは無いのですが、術後には腫れが大きく認められます。しっかりとした骨が出来るまで、時期を待ちます。

(写真)向かって右側の骨を開けて、骨補填剤を上顎洞底と上顎洞粘膜との間に補填しています。
写真では、粒々が骨補填剤です。当院では、他人の骨や、動物の骨を入れることはありません。


2.socket lift

顎堤(顎のドテ)から上顎洞を持ち上げて、空洞へ骨に変っていく補填剤を添加し,そのままフィクスチャー(インプラント体)を埋入します。また、埋入せずに、粘膜を閉じ、骨が出来るのを待つ場合もあります。サイナスリフトと比べると腫れが少なく、術後の疼痛も少ないのですが、ブラインドでの手術となり、高度な技術を要します。また適応症が限られます。

(写真)インプラント埋入前の上顎洞底は、緑色の線のところです。ソケットリフトをして、上顎洞底を青色の線のところまで挙上し、13ミリのインプラントを埋入しました。


3.傾斜埋入

本来、フィクスチャー(インプラント体)を埋入したい方向ではなく、骨のあるところを探して、咬む軸とは違う、傾斜させた軸を利用し、フィクスチャー(インプラント体)を埋入します。この埋入方法では、正確なCT画像が必要です。さらに高度な技術を必要とし、解剖学的にも神経叢に近接した位置への埋入となる為、インプラント専門医に適応をよく相談されることをお奨めします。

(写真)上顎の左右一番外側のインプラントは、上顎洞を回避して斜めに埋入しています。下顎の左から2本目のインプラントも頬舌的に傾斜して神経管を回避しています。

皆さんはどの方法を選択されますか?いずれの方法も、咬むために必要となる手術ではあるのですが、患者様の症状に、また骨の状態にあった方法を専門医がご相談に応じます。


ご相談者:T.Iさん (会社員/50歳 京都府伏見区)

相談員 : 井上 祐利
(京都市左京区 いのうえまさとし歯科医院院長)
1965年京都生まれ。大阪大学歯学部を卒業し、京都大学口腔外科学教室にて研修後、関連病院にて研鑽。京都大学大学院医学研究科外科系専攻(再生医科学研究所臓器再建応用分野)にて医学博士取得。京都大学にて、再生治療分野における特許を取得。同研究所で歯牙の再生とインプラントについて指導、研究を行う。2001年11月、京都市左京区に「いのうえまさとし歯科医院」開院。

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